父が癌になった時のことです。母は2年間毎日熱心に看病をしていましたが、病状は悪くなる一方、母も看病と家事に疲れて軽い鬱のようになってしまいました。
兄と私は仕事があってなかなか母を手伝うことができず、仕事から帰ると病院から帰った母はよく1人で泣いていて、私が慰めてもあまり効果もなく、家庭の雰囲気は最悪でした。
父も母が自分の看病に疲れているのがわかっているのか、笑うことがなくなっていました。
私は、父が末期の癌でもう余命も少ないこと、母が看病で大変な状況にあることを自分の会社の上司に相談しました。
兄は起業家だったのでどうしても仕事を休むことができず、私が代わりに仕事を減らして母を助けようとしたのです。
ちょうど私の会社は繁忙期でしたが、ありがたいことに上司は毎日私を15時で退社できるよう提案してくれました。
毎日早く帰れるようになった私は、会社から病院へと直行し、父のお世話をするようになりました。
父の前ではなるべく笑顔で明るく振る舞い、思い出の写真やビデオを持っていったりして、父が笑えるように努めました。すると少しずつではありますが、父も母も笑ってくれるようになり、母の疲れも軽減されたように感じました。
病気の家族を持つことは、肉体的にも精神的にもとても辛く苦しいことです。
しかしそのような時だからこそ、家族全員一丸となって、1人に負担がかからないよう協力し合わなければなりません。
もちろん家族だけでなく周りの人達にも助けを求めて良いと思います。そして、病気に効く1番の薬は笑顔だと聞きます。
辛い時期だとは思いますが、誰がか笑えばきっと相手も笑ってくれるはずです。最初は無理をしてでも明るく笑顔でいてください。